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外岡秀俊 3.11後の世界

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help RSS 仮置き場という難問

<<   作成日時 : 2011/10/21 20:56   >>

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  2011年10月21日(金)記

 福島市で10月18日、「ふるさと除染計画」が始まった。

 この日は線量の多い最重点地域の大波地区で、緊急に除染が必要な民家のうち6戸について、業者が除染作業に取りかかった。

 緊急除染の対象は、毎時2.5マイクロシーベルト以上の民家と、18歳以下の子どもや妊婦がいる毎時2.0マイクロシーベルト以上の民家、あわせて62戸である。

 この除染は、業者が高圧放水をして屋根や雨どいを洗い流し、外壁をブラシでこすり、庭の表土を重機で削り、庭木は根っこごと引き抜く。農地や山林、河川は別だが、民家や道路といった「面的除染」としては、きわめて大がかりな作業だ。

 9月27日に福島市が発表した「ふるさと除染計画」によると、重点期間は2年、全体の計画期間は5年にわたる。重点期間のうちに、市内全域の日常生活環境で、毎時1マイクロシーベルト以下にするのが目標だ。

まず取りかかるのは民家やアパートとその周辺、学校や保育所、道路、公園、児童の遊び場、公共施設だ。民家やアパートと一口にいっても、全部で11万戸におよぶ。気の遠くなるような数字だ。

 除染の基本は、「放射性物質を取り除き、再び飛散しないように封じ込める」ことだ。では、汚染された土などの始末はどうするのか。国が最終処分場、中間貯蔵施設をつくるまで、福島市では次のような方針を決めた。

 〇公共施設     敷地内に仮置き保管

 〇民地、宅地    敷地内に仮置き保管

 〇道路、側溝    市内数カ所の仮置き場に保管

 〇落ち葉、雑草など 市のゴミ焼却場でバグフィルターを通して焼却

 市が確保するという仮置き場は、穴の底と側面に二重の遮水シートを敷き、外側シートから水が漏れる場合にはパイプで汲みだす。土などは麻袋に詰め、ビニール袋などで包んで穴にいれ、さらに遮水シートで覆ったうえ、30〜50センチの土をかぶせる。

 除染をするのは、公共施設や道路は、それぞれ管理する市、県、国だが、あとは市が中心になる。といっても、範囲が広いため、緊急性のある住宅や宅地は市がおこない、それ以外の民家や側溝などは市民の協力を求める、としている。そのため、除染アドバイザーやボランティアを派遣し、損害賠償請求も支援する。

 福島市では毎時2.0マイクロシーベルト以上の地点が50%以上になった渡利、大波を「最重要除染地域」、10%以上の8地区を「重点除染地域」に指定した。前者では市が除染をおこない、後者では一部線量の高い地点を市が除染し、それ以外は市民の協力を求める、という考えだ。

 実際はどうなのだろう。

 「最重要除染地域」に指定された渡利地区を訪ね、阿部雅弘・渡利市支所長に話をうかがった。

 17000弱の住人がいる渡利では、5月に民家1棟をモデル除染した。だが、屋根に上がっての作業はとても危険で、市民単独ではできないことがわかった。重機を使って庭土を掘るなどの作業も、業者でなければ手に負えない。

 渡利地区は、10月上旬の時点で、多くの場所が目安となる毎時3.0マイクロシーベルトを下回ったため、特定避難勧奨地点には指定されなかった。だが、依然として線量は市内のなかでも高く、住民の心配は絶えない。
支所では17日から、12個の線量計を住民に貸し出すようになった。

 「健康被害のリスクと、二重ローンや二重生活などのリスクを比較考量しながら生活していらっしゃるようです」

 除染のネックになっているのは、ここでも仮置き場の選定だ。

 政府は、「除染をおこなうのは政府の責任」(細野豪志・原発事故担当大臣)というが、仮置き場の選定は事実上、市町村にゆだねている。政府が最終処分場、中間貯蔵施設を決めない限り、「いつまで置くのかわからない」という疑心が生じて、地元の合意は形成されず、足踏み状態が続く。

 国有地に無理やりもってくる、というやり方もあるかもしれないが、阿部支所長は、「地元対立の構図をつくるのはよくない」という考えで、粘り強く説得するかまえだ。

 だが、「ともかく急がなければいけない」というのは、福島県でも積極的に除染に取り組んできた伊達市の半澤隆宏・除染対策担当次長である。

 伊達市は今月になって役所組織を改編し、放射能対策政策監のもとに三次長を置き、除染、健康対策、賠償に力を入れることにしている。

 今回の事故では、セシウム134と、セシウム137が、ほぼ同量放出されたといわれる。セシウム134の半減期が約2年に対し、セシウム137は約30年かかる。放射線のエネルギーは前者が強いので、今後は線量が低下する。2011年4月を1とすれば、放射線量率は今後3年で2分の1になる。

 では、放っておいても3年で半分になるなら、急いで除染しなくてもいいのか。

 「そんなことはありません。だからこそ、時間との競争なのです」と半澤さんはいう。
 
 「みんな、過去の常識にとらわれている。産業廃棄物処理場や、最終処分場のイメージが市民に強く、なかなか仮置き場を引き受けてくださらない。でも、危険ではないんです」

 仮置き場は、新たに放射性汚染物質を持ち込むのではなく、すでに広範に汚染された土砂を集め、集中管理するだけだ。広い範囲に散らばって、放射線に被曝するよりは、除染して集中管理するほうが安全だ。それを、「迷惑施設」のように思い込むのは、過去の「常識」にとらわれているからだ、と半澤さんはいう。

 お隣の福島市とは違って伊達市では、一般住宅の敷地に土砂を埋めることは考えていない。それでは、最終的には、「管理」が行き届かないおそれがあるからだ。

 福島市とは違い、とりあえず高圧洗浄もやらない方針だ。屋根や外壁の放射性物質は、かんたんには取れないからだ。

 伊達市には特定避難勧奨地点があるが、そこは専門の業者が徹底して除染する。それ以外の地域では、民家の雨どいや側溝などは市民にも協力をお願いし、高齢者住宅などでは行政が財政支援をする。

 側溝の泥は、廃棄物を増やすだけなので、原則として除去しない。コンクリートの蓋に遮蔽され、とりあえずは影響が少ないからだ。むしろ、コンクリートの蓋を裏返しにするだけで、かなり放射線量は減る。

 こうして知恵をひねり、ともかくできるところから、現実的な対策を実施する。それが伊達市の考えだ。


 写真は上から

 伊達市の除染対策担当 半澤隆宏次長

 伊達市役所前のモニタリングポスト

 伊達市役所玄関前の放射線表示


 



 
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