報告:福島原発事故に関する公開質疑~事態の見通しと対応策~(4月27日)

 4月27日(水)、衆議院第一議員会館で、緊急院内集会「福島原発事故に関する公開質疑~事態の見通しと対応策~」が開かれました。

 当日のやり取りで引き出された政府側の回答をまとめておきます。政府側の答えには「わからない」「担当が違うので答えられない」というものが非常に多く、市民にとっては余計に不安を募らせるものでした。

 主催者側からは、政府の原子力災害対策本部、原子力安全委員会、原子力安全・保安院あてに事前に「資料請求書」[PDF]を提出しましたが、回答が届いたのは集会当日の朝でした。送った質問全てには答えないきわめて不誠実な回答ですが、以下にリンクを張っておきます。文字が小さく読みにくい部分も多いですが、それだけ市民がなめられているということでしょうか。

資料請求書(上記)質問2への回答(1)[PDF]
資料請求書(上記)質問2への回答(2)[PDF]
資料請求書(上記)質問3への回答[PDF]

 集会当日は、同じく事前に送付した「質問書」[PDF]にそって質疑応答が行われました。以下、その内容です。当日登壇した人のリストは、このページの一番下にあります。

1.福島第一原発そのものの状況について

A. 水素爆発、水蒸気爆発の可能性については、可能性は低いとしつつも、それがありうること自体は否定しませんでした

B. 「燃料再臨界の可能性はきわめて低い」と言いながら、原子炉内で融けた燃料がどのような状態で再集合しているかわからない、とも述べました。つまり、今後再臨界が絶対にないとは言い切れない状態であるということです。

C. 各号機の圧力容器・格納容器の破損については、どの部分が破損しているかを推定するに足る十分なデータを政府が持っていないことがわかりました。

D. 燃料を冷却するために政府が行いつつある「水棺」について、格納容器が水圧や余震の揺れに耐えうるとの100%の保証を政府は与えることができませんでした

2.避難計画などについて

A. 原子力災害対策本部が福島県の学校での被曝基準を20ミリシーベルト/年と定めたことについて、原子力安全委員会として4月19日に助言を行っていた経緯が明らかになりました。

B. 政府側の言い分は、国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)の安全基準では大人・子どもを区別していないので、学校に関して大人と同じ基準を適用することに問題はない、というものでした。しかし、水に関しては、大人300ベクレル/kg、乳児100ベクレル/kgと暫定基準を分けているではないか、という会場からの批判に対して、政府側はまともに答えられませんでした。

C. 海の放射能汚染については、原子力安全・保安院ではほとんど把握していないことが明らかになりました。

【政府側参加者】
前川之則(経済産業省 原子力・安全保安院 原子力防災課長)
氏原拓(経済産業省 原子力安全保安院 原子力発電安全審査課 課長補佐)
田辺国治(原子力被災者生活支援チーム 住民安全班)
川口司(原子力安全委員会事務局総務課)

【出席国会議員】
[集会呼びかけ議員]
服部良一(社民、当日司会)
石田三示、山崎誠、平山誠(民主)
川田龍平(みんな)
[参加議員]
福島みずほ(社民)
柳田和己、永江孝子、石橋通宏、篠原孝、杉本和己、京野きみこ、平山泰朗(民主)

【市民側専門家】
崎山比早子(元放射線医学総合研究所主任研究官、高木学校)
山崎久隆(たんぽぽ舎)
澤井正子(原子力資料情報室)
槌田敦(元名城大学教授)

※まとめ:山口響(共同デスク)