2011年10月20日(木)記 福島市内全体では、小中学校の除染はどうなっているのだろうか。福島市教委の斎藤房一教育総務課長に、話をうかがった。 市ではしばしば国に除染を要望し、5月27日から、まず線量の高い26の小中学校、幼稚園で表土の除去工事を進めた。その結果、屋外での放射線量は渡利小学校で88.9%、渡利幼稚園で90.7%低くなるなど、おおむね9割前後下がることを確認した。 その後、市では7月、8月の夏休み期間を使って除染の範囲を拡大し、51の小学校、21の中学校、1つの養護学校と幼稚園のすべてで除染作業を終えた。 除染のしかたは、こうだ。まず、校庭の地表、高さ50センチ、1メートルで空間線量を測り、水をまく。校庭に、穴を掘って土木用の塩化ビニールシートを敷き、重機でグラウンドの表土を5センチはぎ取る。線量の高い側溝の土砂を土のう袋に入れて表土とともに穴に埋め、そこから50センチの深さで掘った土を埋め戻す。あまった汚染されていない土は業者が運び出し、最後に空間線量を測って効果を確認する、という手順だ。 工事後には、表土を埋めた場所を明示し、継続的にモニタリングをして「学校だより」などで保護者にお知らせしてきたという。 「上限値はできるだけ下げ、カリキュラムも工夫して、だいたい年間1ミリシーベルト未満という目標は達成できる状態になりました」と、斎藤さんはいう。 市では新学期になってから全小中学生や園児に2600個の簡易線量計バッヂを配り、9月分を回収して、業者に分析を依頼している。個人別の累計被曝量を測ることで、日ごろの学校外での被曝にどのような差がでているかなどを分析し、今後被曝量を減らすことに役立てたいという。 だが学校内の敷地の除染が終わっても、課題はまだまだ多い。 通学路も除染したいが、まだその汚染物質を運びこむ借り置き場が見つからない。市では、東西南北に一カ所ずつ程度の借り置き場を設けて、地域の汚染物質を運ぶことを計画しているが、その周辺住民の了解をえられるかどうか、わからない。 これは県内どの自治体にも共通する悩みだ。除染によってでてくる汚染物質は、まず地域の借り置き場に運び、一定期間を経て、県内にできる中間貯蔵施設に持ち込まれる。それを最終処分場に運ぶことで、一応のサイクルが完結する。 ところが、「中間貯蔵施設」がいつ、どこにできるのかがわからないため、「借り置き場といっても、中間貯蔵施設が決まらず、永久に保管場所になってしまうのではないか」という疑心を呼んでいるのである。 これは、下水処理によって生じる汚泥についてもいえる。その自治体も汚泥の保管場所が満杯に近づいており、汚染物質の処理に四苦八苦している。 この構図は、程度はまったく違うが、高レベル廃棄物である使用済み燃料の保管と、似ている。「最終処分」のやり方が解明されておらず、施設もできないために、どこかに「中間貯蔵施設」をつくって、その場をしのぐ以外に方法がないのである。 だが、その「中間貯蔵施設」を受け入れてくれる場所は、なかなか見つからない。その結果、各地の原発で、とりあえず使用済み燃料を保管するしかない、という構図である。いまの除染の困難さを思えば、使用済み燃料の処理のとてつもない難しさが想像できる。 だが、除染によって生じる汚染物質は、基本的に、高レベルの廃棄物とは違う性格をもっている。厳重な管理を必要とはするが、それは、新たに地域に持ち込まれるのではなく、すでに地域一帯を広く汚染しているという点だ。それを集中管理して、地域全体の危険性をできるだけ低くする、という考え方には、合理性と緊急性がある。 いずれ取り上げるように、健康被害を悪化させないためには、できるだけ早く、地域の除染を進めるしかないだろうと思う。 市教委によると、原発事故以来、市内の小中学生約700人が、在籍のまま、市外に一時避難している。また、30人が、住民票を移して転校した。その一方、原発周辺自治体から、約800人が福島市内に転校してきた。「お母さんとお子さんが一緒に避難しているという例が多いように思います」と斎藤さんはいう。 市教委では間もなく、4つの給食センターに食材の放射性物質の量を測定する機器を配備し、野菜や肉の数値をホームページで発表する。単独で給食をつくる学校も26校あるが、こちらも交代でサンプル調査をし、月2回以上は検査できるようにする、という。 この検査は、いたずらな風評被害を避け、「地産地消」に戻す効果もあるだろう。ともかく、一歩一歩、できることから始める以外にはない、と思う。 写真は市教委の斎藤房一教育総務課長 |
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三好さやか 2011/10/20 15:08 |
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