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<<   作成日時 : 2011/10/13 17:35   >>

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 2011年10月13日(木)記

 今日の夜、大田区民センターで「災害とメディア」という題でお話をするよう頼まれ、上京した。

 昨日、前にこのブログでご紹介した、詩人の若松丈太郎さんから、メールをいただいた。

 若松さんがお住まいになる南相馬の地元「九条の会」4団体が、先日南相馬市長に手渡した「要求書」の内容を記したメールだ。

 若松さんらは、同じ内容の要求を、野田首相と東電社長、福島県知事にも郵送したという。

 ひとことでいうと、

 「南相馬市内全域の生活環境が一刻も早く、平常時の一般人の被曝限度量とされる年間1ミリシーベルト(1時間0.114マイクロシーベルト)以下になるよう除染し、子どもたちが安心して暮らせるよう対処することを要求します」

 という内容だ。これ事態は、だれもが賛同するごく自然な要求だろうと思う。

 ただ、その要求への署名を求める依頼文書を読むと、この要求が出てきた背景がよくわかる。

 若松さんが住む南相馬市は、先月30日、「緊急時避難準備区域」の指定を解除された。

 放射線が低くなって将来のリスクが軽減されたのならいいこかもしれないが、事実は逆で、これから学校や通学路を除染して安全を確保する、という。

 本来なら、平常時の一般人の被曝限度量とされる年間1ミリシーベルト(1時間0.114マイクロシーベルト)以下になるよう除染し、安心して暮らせるようになってから子どもたちを返すのが筋ではないだろうか。

 なぜこうなったか、について、若松さんらは次のように推測している。

 「福島県には、『緊急時避難準備区域』として指定した20〜30キロ圏外で『緊急時避難準備区域』よりも高い放射線量値が検出されている広範な地域があります。この地域を『緊急時避難準備区域』に指定すれば、福島県の半分以上(東京都と埼玉県を合わせたほどの広さ)が該当することでしょう」

 「おそらく、国はこれによる事態を想定したときの社会的影響を考慮し、逆にこの無指定地域よりも放射線量値が〈低い〉『緊急時避難準備区域』の指定を解除したのだと解釈する」ことがただしいのではないか。


 たしかに、「緊急時避難準備区域」には、現実に人が住まざるをえないのに、学校や病院、福祉施設を閉鎖するという不都合を住民に強いてきた。国が除染を進めながら、ここは「安心」と宣言しながら、少しずつ解除するなら、住民も安心できるだろう。しかし、先に解除をしてしまえば、住民はそれが「安全宣言」だと受けとめないだろうか。

 私も、そうした気がかりを感じていた。

 
 若松さんのお許しをえたので、野田首相らへの「要求書」と、署名依頼書を添付したい。



  ○要求書

 内閣総理大臣・原子力災害対策本部長 野田佳彦 様

 東京電力株式会社社長        西澤俊夫 様




              要 求 書


 南相馬市を子どもたちが安心して暮らせるまちにするための対処を要求します



 南相馬市内全域の生活環境が一刻も早く、平常時の一般人の被曝限度量とされる年間1ミリシーベルト(1時間0.114マイクロシーベルト)以下になるよう除染し、子どもたちが安心して暮らせるよう対処することを、原因者である国と東京電力に対してつよく要求します。



   2011年9月25日



 南相馬市原町区錦町2丁目55   はらまち九条の会  代表 平田慶肇

 南相馬市鹿島区北屋形字西浦向56-1 鹿島九条の会    代表 相良正巳

南相馬市小高区南町2丁目58   小高九条の会    代表 佐藤鶴雄

 南相馬市原町区二見町2丁目72-1  相双教職員九条の会 代表 加藤憲男


            要 求 の 理 由


 国は緊急時避難準備区域の指定を解除する方針とのことです。この方針は望ましい方向に事態が進展していると歓迎すべきであるかもしれません。しかし指定解除の根拠が客観的に納得できる数値によって示されなければ、受け入れがたいものと考えざるをえません。

 一般人の平常時年間被曝限度量は1ミリシーベルト(1時間あたりに換算すると0.114マイクロシーベルト)とされています。

 一方で、医療機関等では、1時間あたり0.6マイクロシーベルト以上の区域を放射線管理区域とし、18歳未満の者の立入を禁止しています。また、原発労働者の白血病労災認定基準として年間5ミリシーベルト(1時間あたりに換算し0.57マイクロシーベルト)を設定しています。被曝リスクに閾値(いきち)はないとされているものの、このあたりの放射線量を職業的被曝の限度として考えているのでしょう。

 原町区教育委員会所管施設(屋外地上1p)の空間放射線測定値によると、0.6マイクロシーベルト/h以下なのは36ヵ所中7ヵ所だけです。また、市部局が測定した市内40ヵ所(地上1p)の放射線量値も0.6マイクロシーベルト/h以下なのは12ヵ所だけです。しかも、これらの全測定点で0.114マイクロシーベルト/h未満なのは鹿島区の4ヵ所だけです。(2011年9月14日現在)

 成人と比較して子どもは3〜10倍ほども放射線に敏感だとされています。現在、市内には数千人超の学齢者が居住し、幼児もいます。このままでは、子どもたちの将来の健康が危ぶまれます。未来に対し責任を果たせるまちにするため、わたしたちは関係機関に対しそのすみやかな対処をつよく要求します。


  ○署名依頼書

  福島原発事故に際し、ひとかたならぬご高配をいただきました。心から感謝申しあげます。なんとか生きています。


 さて、南相馬市のわたしたちが暮らしているあたりは「緊急時避難準備区域」とされていたのですが、9月30日にその指定が解除されました。しかし、その区域内のほとんどで現在も0.4μSv/h台(4mSv/y前後)の放射線量が検出されています。

 「緊急時避難準備区域」の指定解除を承けて、学校や通学路を除染し、子どもたちを呼び返し、学校や保育所などを再開しようとしています。しかし、これは順序が逆ではないかとわたしたちは考えます。子どもたちの健康を考慮すれば、生活圏全体が0.1μSv/h(1mSv/y)以下になったのちに、はじめて子どもたちを呼び返して学校等を再開するのが筋だと考えます。

 福島県には、「緊急時避難準備区域」として指定した20〜30キロ圏外で「緊急時避難準備区域」よりも高い放射線量値が検出されている広範な地域があります。この地域を「緊急時避難準備区域」に指定すれば、福島県の半分以上(東京都と埼玉県を合わせたほどの広さ)が該当することでしょう。おそらく、国はこれによる事態を想定したときの社会的影響を考慮し、逆にこの無指定地域よりも放射線量値が〈低い〉「緊急時避難準備区域」の指定を解除したのだと解釈するのが、正鵠を射ているに違いありません。

 つまり、日本国は、国内の秩序維持、人心の動揺回避、政治的経済的負担の軽減を優先し、この地域の居住民を見捨て、日本国民と認めず、棄民したのです。


 わたしたちは、別紙「要求書」を提出しました。さらに署名簿を追加提出することにしました。ご賛同いただけますなら、子どもたちの未来のために署名をお願いします。

 「はらまち九条の会」のH.P.http://www.haramachi9jo.net/ から署名用紙をダウンロードするか、コピーしてください。

 第1次締切は10月20日ですが、第2次、第3次締切を考えています。よろしくお力をお願いします。

 送り先は、若松丈太郎、または井上由美のどちらでも結構です。



 




 
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