2011年7月17日(日)記 郡山で、蛇石(へびいし)郁子市議にお目にかかった。環境と平和の市民運動に長く携わり、05年補選に当選してから「市民に開かれた市政」を目指して議員活動を続けてきた方だ。 蛇石さんは、3.11後、「放射能から子どもを守る」という観点から市民と連携し、市議会の6月定例会に8つの嘆願書を紹介して採択に持ち込んだ。請願は、子どもたちに長期の健康モニタリングや健康診断を求めるなど、具体的な対策を求める一方、福島第一、第二原発の廃炉を求めたりするなど、「脱原発・エネルギー政策転換」を強く訴える内容になっている。 福島では、高い放射線量が検出された中通りの福島市、郡山市を中心に、子をもつ親がメール、ツイッターなどで連絡を取り合い、自発的にゆるやかなネットワークをつくり始めた。 「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」である。その動きと連携をしてきた蛇石さんによると、郡山では3月下旬に市教祖が文部科学省から放射線測定器を借りて独自に学校などの放射線を測り、高い数値を検出。入学式を遅らせてほしいなどの要望が市教委に殺到した。同じころ福島でも自主計測で高い放射線量を検出し、親たちが騒ぎ始めた。 文科省は年間20ミリシーベルトを、児童・生徒の被曝線量限度と打ち出した。屋外活動を制限する目安は毎時3.8マイクロシーベルト。これは1年間、毎日8時間を校庭で過ごし、残りを木造家屋で過ごす場合の測定目安だ。 しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告では、一般人の平常時の線量限度は1ミリシーベルト。原発事故などの場合には年間20〜100ミリシーベルトの幅を認めており、「計画的避難区域」を指定した根拠が、この下限の年間20ミリシーベルトだった。 それでは、文科省は、児童・生徒がこの「計画的避難区域」と同じ線量まで、被曝することを許すのか。親たちの不安が募ったのも当然だったろう。 親たちは、20ミリシーベルト撤回の署名集めをはじめ、4月25日には250人ほどが集まって、県教委に申し入れをした。5月1日には、福島市で親たちが集まり、4つのセクションに分かれて議論した。1避難・疎開、2測定・除染、3防護、4知識・普及のセクションである。 5月23日には、ネットワークの親たち約70人が文科省を訪ね、全国から集まった約650人の支援者に見守られて「年間20ミリシーベルト安全基準の撤回」を要請。文科省は、20ミリは安全基準ではなく、1ミリシーベルトを目指してできるだけ低くするよう回答した。 しかし、親たちの不安や不信はこれでおさまらなかった。 郡山市は、県内の他の自治体に先駆けて、小学校の表土剥ぎ取りなどを実施した。子どもをできるだけ屋外で遊ばせず、家屋の放射線量を測り、高い数値の水周りや雨どいを自分たちで除染した。通学時には帽子、マスク、長袖を着させてもいる。その後の内部被曝をおそれ、牛乳や給食を食べさせず、子どもに自分で作った弁当を持参させる親もいる。 でも不安は消えない。3月15日で最大だったとされる大気中への放射性物質で、子どもたちがどれほど被曝したのかについて、明確な数値がつかめないからだ。政府の原子力災害対策本部は、200万県民の健康調査を実施し、3月12日〜18日の1時間ごとの行動データから、被曝線量の正確な数値を割り出すという。 しかし、結果が出てからでは、もう遅い。いまだに日々、子どもたちは高い放射線量に取り囲まれ、被曝が続いているからだ。 そこで、思い切って子どもを避難、疎開させようとする親たちもいる。その実数は明らかではない。だが蛇石さんは、推計で郡山市の1割程度の児童・生徒が疎開しているのでは、と考えている。 「動ける人は動けるけれど、仕事や経済状況などさまざまな事情で、動けない人も多い。お母さんたちがストレスを抱え込まないように、アドバイスをし、精神的なケアをすることも大切です。最終的にどうするかは、自己判断なのですが・・・」 蛇石さんによると、福島には過去40年、双葉郡で反原発運動を続けてきた石丸小四郎氏らの「双葉地方原発反対同盟」があった。それを第一世代とすると、第二世代は「脱原発福島ネットワーク」。さらに蛇石さんら第三世代は、福島原発40周年を機に、「ハイロアクション」という廃炉を目指す運動を始めようしていた。その矢先に今回の原発事故が起きた。 「原発を進めていくか、段階的に安全なエネルギーに切り替えていくか。いろいろな議論はありますが、もっと単純でいいんじゃないの、と仲間で話しています。危険なものは要らない。世界中どこでも、子どもたちや胎児に影響を与えるようなものを扱ってはいけない。これは倫理の問題だと思うんですよ」 写真は、蛇石市議 |
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